第76章 ゾルダー④

 ゲバラは、ゾルダーの猛攻に必死に耐えていた。だが、いつまで耐えられるか?いまの自分の実力ならガイガーにも勝てるとの自信を持っていたが、目の前の怪物はさらにその上をいっていた。


「どうした? おまえの力はその程度か?」

 ゾルダーが勝ち誇ったように吠えてきた。


「勝負はこれからだ」

 ゲバラは自分にハッパをかけるように、声を投げ返した。


 だが内心は、このままでは、やられる! と覚悟していた。だからといって、そう簡単に殺されるわけにはいかない。死ぬときは、ゾルダーも必ず道ずれにすると。ゾルダーの猛攻を懸命にしのぎ続けた。


「もうゲームはおしまいだ。とどめを刺してやる」


 ゾルダーが声を投げつけてきたときだった。ドドーン! ドドーン! 爆発音が何度も響き、周りも激しく揺れた。少し遅れて通路に爆風も吹いてきた。続いて二人の体が宙に浮いた。


 重力装置が被弾して機能しなくなったのだ。無重力状態になったことでゾルダーの拳の威力も半減した。殴られ蹴られても、ほとんどダメージを受けなくなった。

 その間にも、船は破壊され続けていた。


「ちぃ、邪魔が入ったか」

 ゾルダーは捨て台詞を残すと、壁を蹴り、煙の中に消えていった。


 ゲバラは、ゾルダーの後を追いかけなかった。ここでぐずぐずしていたら、船と仲良く宇宙ゴミになってしまう。炎の嵐を掻い潜り、脱出できる箇所を目指した。



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