第76章 ゾルダー②

 艦船が被弾したのを合図のようにして、ゾルダーとの激しいバトルが始まった。予想外の展開だった。ゲバラの拳や蹴りがまともに当たっても、強化ゴムを叩いたかのように、ゾルダーの体に弾かれた。


「驚いたようだな。俺様は、金星の地表に長いこといた。金星の気圧は地球の90倍だ。その気圧に耐え続けたことで、俺様の体は変異し戦闘力は数十倍に増した」

 ゾルダーが赤い眼をぎらぎらさせ、口元をにやりとさせた。


 話を聞いて合点した。どうりで地球で戦ったガイガーの兵士と違って、通路に転がしたゾルダーの手下たちに苦戦したわけだ。


 ゾルダーはガイガーのように瞬間移動はしないが、拳の破壊力は上だった。一発一発が芯まで破壊されそうだ。だからといって、ここで負けるわけにはいかない。

 火星の人々の命がかかっている。ゾルダーの猛攻を防ぎながら、反撃し続けた。


「なんだ、おまえの力はその程度か。これならガイガーも倒せる。俺様が、この太陽系の王だ」

 ゾルダーはこの戦いで自分の力を確信したようで、勝ち誇ったように吠えてきた。


「貴様を片付けたら地球に戻り、ガイガーを倒して、俺様が地球の支配者になる」

 ゾルダーが本心を飛ばしてきた。


 どうやら、この怪物にも野心があったようだ。

 ゾルダーとの戦いは次第に防戦一方となった。超強化ボディースーツを身に着けていることで、どうにか持ちこたえているありさまになった。

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