第75章 俺たちは負けるわけにはいかねえんだ②

 狙った獲物は逃がさないピラニアの群れのように、ゲバラたちの船を破壊しようと弾が一斉に飛んできた。暗黒の宇宙を閃光が走る。ゲバラが命令する前に操縦をしている部下が急反転させ、レーザー弾の雨を次々とかわした。さすがにゲバラが選抜したパイロットだった。操縦の腕前はゲバラに引けを取らなかった。


「奴らに俺たちの正体がばれたようだな。すぐに全機発進だ」

 ゲバラは、戦闘機に乗り込んで待機しているパイロットたちに命令した。


 事前に発進の準備をしていた戦闘機は、次々と勢いよく飛んでいった。


「俺も戦闘機に乗り込む。スレイユ、後は頼むぞ」

 弾を巧みにかわしている部下のスレイユに命令すると、踵を返した。


「ゲバラ、僕も行く」

 横にいたジュンが、居ても立っても居られないという顔で、声をあげてきた。


「駄目だ。おまえはここに残れ。おまえの役目は、火星に降りることだ」

 ゲバラはぴしゃりと言うと、駐機場に急いだ。


「スレイユ、俺は艦に侵入する。10分経っても俺から通信がなければ、みんなで艦船を一斉に攻撃しろ。これは命令だ」

 ジュンの前では言わなかったことを命じた。


 戦闘機の乗り込んだゲバラは、一気に宇宙空間に飛び出した。



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