第74章 防衛戦再び⑩

 俺は面白いように戦闘機を次々と撃破していった。なにせ奴らには俺の姿は見えない。それでいて、どこからともなく弾が飛んでくるのだから相手は防ぎようがない。まったく卑怯な手口だぜ。いや戦争に卑怯もクソもないか。


 余談だが、かつて旧日本軍の真珠湾攻撃を、事あるごとにアメリカはパールハーバーを忘れるな、と戦争から半世紀過ぎても卑怯者呼ばわりしていたが、そのアメリカも世界中でずいぶん卑怯なことをやってきた。


 そのことが、なぜか頭に浮かんだときだった。俺の全神経を逆なでにする光景が、瞳に映った。1機と交戦中のアリーナの戦闘機が、2機に背後から狙われていた。俺はそうはさせまいと、2機の戦闘機を撃破した。


「らしくないぞ」

 俺は叱咤するように声を飛ばした。


「え、あなたなの? 宮島さん?」

 俺の声に、アリーナがひどく驚いた声を返してきた。


「ああそうだ。姿は見えないだろうが、俺だ。お前に胸を撃たれた仕返しをしに来た」

 俺は軽口で返した。


「眼には見えないが、俺の他に助っ人が6機来ている。俺は、あのバカでかい母艦を破壊する」

 言い残すと、一気にその場を離れ、目先の邪魔な戦闘機1機を撃破すると、母艦の左エンジンに襲い掛かった。エンジンを周りごと木っ端みじんに破壊した。次は指令室だ。コックピットの正面に浮いた。だが、相手からの反応はまったくなかった。

 破壊する前に、手でも振ってやろうか?


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