第74章 防衛戦再び⑨
「やめろ! その戦闘機で体当たりしても、相手の艦はびくともしない」
ゼロ戦の特攻機のように突っ込もうとしていたガガーリンに、俺は怒鳴るように、制止の声を飛ばした。
「え? その声は。宮島さん?」
ガガーリンがひどくびっくりした声を返してきた。
「ああそうだ」
同じ強い口調で返した。
「え? 戦闘機の姿は見えませんが。死んだのですか?」
ガガーリンが同じ口調で訊いてきた。
無理もない。隠れるところのない宇宙で、姿は見えないのに、俺の美声しか聞こえないだのだから。この生死がかかった異常な状況だ。死霊、いや善玉? の霊と勘違いしてもおかしくない。ま、冗談だが。
「ああ、俺は幽霊になった。うらめしや~。いやまだちゃんと生きているぜ。お前たちに見えないだけだ。ここは俺に任せろ。あんたは、戦闘機を叩いてくれ」
今度は少しジョークを交えて声を返した。
「ガガリーンさん、レオニードです。僕が援護します」
「レオニード? え? どこにいる?」
ガガリーンはまたびっくりしたような声を出してきた。
「僕たちの戦闘機は、みんなには見えません。最新鋭の戦闘機です。それより戦闘に集中しないと、撃たれますよ」
レオニードが注意してきた。
案の定、ガガリーンの戦闘機は餌食になろうとしていた。ブシュ! 攻撃を加えようとしていた奴を、俺は叩き潰した。
「ガガリーン、いつまでもここにいたら、集中砲火を浴びてハチの巣にされるぞ。急いでこの場を離れろ!」
今度は命令口調で声を張り上げた。
「はい」
ガガリーンは一言発すると、機を反転させ、一気に後方に退いた。
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