第74章 防衛戦再び⑦
俺の側に、パイロットの服装をしている5人がやってきた。中には見覚えのある、確かワシントンと周徳という名前の男たちだった。
「宮島さん、我々も戦場に行きます」
5人を代表して、ワシントンが口を挟んできた。
「この新型戦闘機は7機が完成しています。私と周徳、この4人のパイロットたちも戦場に行きます」
ワシントンが続けて話してきた。
「あんたらは、訓練していないだろう。無茶だ」
俺は思っていることをストレートに話した。
「いえ、こういう日に備えて我々も訓練をしていました。もちろん正規のパイロットたちよりは能力は劣りますが、この見えない戦闘機なら、我々も相手と戦うことができます」
周徳が仲間の思いを代弁するかのように、力強い口調で喋ってきた。
「我々も連れていってください」
周徳の側に立っている20歳ぐらいと思われる青年も声を上げてきた。
「ここで座して殺されるより、我々も戦いたいのです」
ワシントンが声を引き継ぎ、強い決心を述べてきた。
「ん~。わかった。生きては帰れないかもしれない。それで構わないなら、ついて来い」
俺は一端の上官になったつもりで応じた。
「宮島さん、頼みます。火星の人々を守ってください」
やり取りを見ていたマルコフが握手を求めてきた。
それを娘の恵美が、すごく心配そうな顔で見ていた。
「お父さん、必ず戻ってきてよ」
傍に寄ると、懇願口調で喋り、眼を合わせてきた。
「初めて、お父さん、て言ったな。ああ大丈夫、必ず戻ってくる」
俺は心配ないという顔をつくって、恵美の肩を掴んだ。
すると、恵美が胸に飛び込んできた。
「約束よ。必ず帰ってきて」
今度は泣きそうな声で喋ってきた。
俺は言葉の代わりに、恵美を抱擁した。今生の別れになるかもしれないからだ。
俺が死んでも、娘は守る! 恵美を抱擁しながら、俺は心の中で固く誓った。
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