第74章 防衛戦再び③

 艦隊が肉眼でも見えてきた。背景を飾る美しいミルキーウェイと無数の星々が輝く宇宙に相応しくない、悪魔の軍団だ。


「空母2隻に、4隻の大型船も。これでは太刀打ちできない」

 ガガーリンのがっくりした声が、アリーナの耳に入ってきた。


「みんな、諦めないで。わたしたちがあきらめたら、火星の人々も全滅よ」

 アリーナは𠮟咤激励するような口調で、全員に聞こえるよう声を飛ばした。


「そうだ。俺たちは最後まで諦めない。絶対に勝つ!」

 キアヌも全員を鼓舞するように声をあげてきた。


「俺たちは諦めない。最後まで戦う!」

 互いの士気を高めるような声が、無線機を通じて方々から上がってきた。


「あの4隻の大型船は、火星の人々を奴隷として運ぶための輸送船だわ。あの2隻の空母と、戦闘機を叩けば、きっと勝てるわ」

 アリーナは、最後の言葉は自分にも言い聞かせるように声を上げた。


 これから始まる戦いが絶望的なのは、みんなわかっている。だからといって、退却するわけにはいかないのだ。奇跡を信じて戦うしかない。


「よし、みんな。あの空母に攻撃を集中しろ! たとえ我々が全滅しても、火星への侵略だけは絶対に阻止するぞ」

 ガガーリンが暗い気持ちが吹っ切れたように、強い口調で部下に指示した。


 アリーナたちは、ここから先には絶対に行かせはしないと、攻撃態勢をとった。



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