第74章 防衛戦再び②

 アリーナの瞳に、戦闘配置についているキアヌたちの戦闘機が映ってきた。火星に瞳を向けた。今頃は、宮島は眼を覚ましているはずだ。もう二度と会うことは叶わないだろうという悲しみが、胸を締め付けていた。


「1人か?」

 そこに、キアヌの声が耳に入ってきた。


「ええそうよ」

 戦闘配置に加わったアリーナは短く答えた。


「宮島さんは、どうした?」

 予想していたこと言葉が、続けて聞こえてきた。


「宮島さんは、負傷して、ここには来ないわ」

 アリーナは言いにくそうな声で答えた。


「そうか。1人でも多いほうがいいが仕方がない。ここにいる仲間で戦うしかない」

 キアヌは残念そうな声だけを返してきた。


 どうして負傷したのか? その理由も聞いてくると思ったが、訊いてこなかったのは、もうすぐ襲ってくる新手の悪魔たちに、全神経を注いでいるためだろう。全員が生きては帰れない戦いに。


「キアヌ、奴らだ!」

 部下の1人が叫ぶように告げてきた。


「ああ、わかっている。全員、戦闘態勢だ」

 キアヌの号令に、アリーナも戦闘態勢をとった。


 レーダーに映る複数の赤い点が、こちらにどんどん近づいていた。その一つはザイオンの戦艦よりもさらにも大型だった。ということは、戦闘機の数も多いということだ。

 アリーナの脳回路に、全滅は確実、という文字が浮かんだ。


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