第74章 防衛戦再び①

 俺は最新鋭の戦闘機の前に足を運んだ。すると、いきなり戦闘機が消えた。


「戦闘機が消えた!」

 驚いた俺は、思わず声をあげた。


「いえ、消えてはいません。戦闘機が見えないだけです。傍に近づけば触れます」

 そう言うと、マルコフは戦闘機に近づき、触って見せた。


 それを眼にした俺は、まだ半信半疑の興奮した気持ちを拭えないまま、マルコフの横に並ぶように立って手を伸ばした。


「こりゃあ、驚いた。しかしどうやって? あんたたちには失礼だが、人間の技術力では無理だろ? ということは、ガーピスか?」

 触れているのに、見えない戦闘機に瞳を注ぎながら、すぐに訊き返した。


「いえ、この技術は、ゲバラが送ってくれました」

 首を振るように答えてきた。


「ゲバラ?」

 まだ驚いたままの顔で訊き返した。


 ゲバラといえば、AI最強の戦士だとしか頭に浮かばなかったが、彼にはこんな能力もあるのか。


「はい。その技術はどこからは詳しくは説明してきませんでしたが、背景とまったく同じ色に同化できる動物、昆虫のように、なんにでも擬態することができます」

 その説明を聞きながら、俺は確かめるように機体を触り続けた。


 まるで目隠しをして物を触っているような不思議な気分になった。この見えない戦闘機があれば、ひょっとしたら勝てるかも? との希望の心が芽生えてきた。

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