第73章 まだ死ぬわけにはいかねえ③

 アリーナは懸命に心臓マッサージを続けた。


「おまえが撃った、その胸には、ガーピスを殺すためにガイガーの分子組織が仕込まれていたってわけだ。だが、なぜか地球では作動せずに、この火星で作動した」

 ザイオンが皮肉を含んだような口調で声を投げてきた。


 アリーナはザイオンを横目で強く睨みつけると、瞳を戻し心臓マッサージを続けた。


「そいつとの戦いで、俺はガイガーの弱点を見つけた。俺様を治してくれたら、その礼にガイガーを倒して、おまえたちの安全を保障してやる」

 ザイオンが声を続けてきた。


「レオニードさん、その嘘つきの頭を破壊して。この怪物が復活したら、わたしたち全員を殺すわ」

 アリーナは心臓マッサージを続けたまま、声を飛ばした。


「わかった」

 返事をするとすぐに、ザイオンの頭に銃口を向けた。


「おい! まて、やめろ!」

 その声をかき消すように、レオニードは引き金を引いた。


 ブシュ! ブシュ! ブシュ! ザイオンの頭はハチの巣になった。両眼球が外に飛び出し、地面に転がった。


「宮島さん、お願い眼を開けて!」

 だが、懸命に呼びかけても、宮島は眼を開けなかった。




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