第73章 まだ死ぬわけにはいかねえ②
「レオニードさん、酸素マスク! それと止血剤をお願いします」
アリーナは声を張り上げて要求した。
「はい」
返事をしてマスクと止血剤を手渡したレオニードは、何が何だかわからないという顔で息を呑むように見ていた。取り囲んだ兵士たちも同じような顔だった。
マスクを受け取ったアリーナは、宮島の顔に急いで装着すると、どくどくと出血が続く傷口に止血剤を振りかけると、続いて心臓マッサージを始めた。
このアリーナの不可解な行動を見ている者が、もう一人いた。死んだはずのザイオンだ。ザイオンは穴だらけの頭だけになっていても、まだ死んではいなかった。アリーナの処置を横目でじっと見ていた。
「なるほど。人間のくせに、俺と互角になぜ戦えたのか分かった」
謎が解けたという意味ありげな顔で声を投げてきた。
その声に、全員がびっくりしたという表情でザイオンに眼を一斉に向けた。どの顔も、すぐに凍り付いた表情になった。当然だ。ザイオンはまだ生きているのだから。右の眼球がぶらりと外に飛び出した不気味さは、B級ホラー映画にスカウトされるかもしれない。
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