第72章 老人変態VS怪物②

「どうした? かかってこないなら、こっちから料理してやるぜ」

 ザイオンが吠えて、ヒグマが突進してくるように襲い掛かってきた。


 体を粉砕しようと丸太のような腕を振り下ろしてきた。ガン! 俺は咄嗟に、二の腕で拳を受け止めた。グローブのおかげで粉砕を免れたが、それでも凄まじい衝撃が頭から足の裏まで走った。もしまともに頭に受けたら、首ごとなくなりそうだ。


「ほう。受け止めたのは、おまえが初めてだ。少しは楽しめるかな?」


 速射砲のような拳と、太い枝さえも簡単に砕きそうな握力で掴みかかり、俺の体を引き千切ろうとしてきた。俺はそうさせまいと必死に防いだ。防御するだけで精一杯だった。とてもだが、反撃できるような相手ではない。あまりにも力の差がありすぎる。それでも致命的なダメージは、まだ受けてはいなかった。それは俺の力というより、またも体内の別の力が働いているようだ。


「ほう驚いた。1分経ったぞ。まだまだ楽しめそうだ」

 軽口を投げつけると、また猛然と襲い掛かってきた。


 バシバシバシ! ドスン! 俺の防御を蹴散らし、ザイオンが掴まえたぞ、という顔をして覆いかぶさってきた。


「楽しませてくれた礼だ。その頭を味見してやる。小さい子供も味見してみたが、非常にまずかった」

 ザイオンがワニ口をぺろりと舐めた。


「貴様~、いまなんて言った?」

 俺は怒りと憎悪の眼で、ザイオンを睨みつけた。


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