第71章 ザイオンの逆襲⑭

「なるほど改造されて、首から下は人造人間になったのか」

 観察するような眼を向けたまま、声を投げてきた。


 今度はこっちが驚いた。ザイオンは俺が改造されたことまでも即座に言い当てた。この怪物は相手の過去を知ることができる特殊能力がるようだ。ということは、このままだと、ひょっとして俺の知られたくない過去も、洗いざらい丸裸にされるということか? それなら、なおさら口封じしないと。


「冥土の土産だ。俺様の名前はザイオン様だ。いずれは俺様が銀河系の覇王となる」

 訊きもしないのに自慢げに喋ってきた。


「さて、その改造体でどれくらい戦えるのか、試してもみようじゃないか。1分もったら褒めてやる」

 ザイオンが狩りを楽しむかのように言ってきた。


「そう簡単に倒されはしねえ。てめえの減らず口を塞いでやる」

 俺は虚勢を張って言い返した。


 だが内心は、ザイオンの口封じよりも、この絶体絶命の危機から、どう逃れるかで頭はいっぱいだった。勝ち目は、はっきり言って1%もない。唯一の頼みの綱は、アリーナが作って渡してくれた、上腕まである護身用のグローブだけだ。アリーナの説明によれば、鋼鉄の強打にも耐えられるそうだ。グローブでザイオンの攻撃をしのぎ、逃げるチャンスをつかむしかない。


「おまえ、ここから逃げることを考えているな。それと、おまえの過去」

 お見通しだぞという顔で、嘲るように吐いてきた。


「おい! それ以上、喋ると、その口を先に潰すぞ」

 俺は口封じの声を投げつけた。


「まあいい。さあ、逃げられるか、ほら逃げてみろ」

 ザイオンが両手を広げて促してきた。


 もうこうなったら、戦うしかない。俺は腰を落とし、戦闘態勢をとった。



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