第71章 ザイオンの逆襲⑩

 俺は全力で走った。後ろが気になり、ザイオンとの距離間を確かめようと振り返った。ところが影もなかった。


「奴はどこだ?!」


 足を止め、銃を構えて周りを見渡した。全身に緊張感が走った。相手は武器を持たず、こちらは武器を手にして優位のはずだが、嫌な威圧感が押し寄せていた。

 今度は岩を盾にするのではなく、背後に何もない場所を背に銃を構えながら移動した。背後から襲われないようにするためだ。


「右か? 左か? それとも正面の岩か?」


 全神経を前に集中し、すぐに発砲できるよう銃口を向けたまま、ゆっくりと後ろに後退した。左から、何かの音がした。奴が砂利を踏んだ音か? それとも俺を騙すための奴の偽装か? がその後はなにも動きがなかった。なぜ、奴はすぐに襲ってこない? 仲間の頭を吹っ飛ばした俺の射撃能力を警戒しているのか? まあそれは大いなる勘違いだが。


 ドローンが視界に入ってきた。上から高みの見物で、実況中継でもしにかたのか?瞳をドローンに向けたときだった。左側の岩影からだった。俺の隙をついてザイオンが物凄い速さで襲い掛かってきた。


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