第71章 ザイオンの逆襲⑨

 部隊長のレオニードたちは、小さくなっている二人を見送っていた。


「レオニードさん、助けてくれた人、誰なんでしょうか?」

 隊員の1人が訊いてきた。


「う~ん、わからないが、まあ、人間でないのは確かだ。しかし、誰であろうと、助けてくれたことに間違いはない」

 走り去っていった方向に視線を向けたまま答えた。


「いまは負傷した隊員の救出が先だ」

 レオニードは、周りの悲惨な光景を見渡した。


 中には、俄か兵士として召集され戦った隊員たちもいる。ロボットたちの暴風から解放されたものの、大勢の仲間が犠牲になった。


「まだ戦いは終わってはいない。負傷者の手当てと、次の攻撃に備える必要がある」

 レオニードは隊員たちに指示した。


「はい」

 返事をした隊員たちと共に、レオニードは負傷者の救出を急いだ。


 ここは酸素が豊富な地球とは違う。負傷者の衣服が破けていたら、すぐに応急手当てをしないと死ぬのは確実だ。1人の負傷者の命も失わせるわけにはいかない。中には帰りを待っている家族もいるのだ。


 レオニードたちは5機のドローンが飛んでいくのを見送った。次の戦いに備えて怪物を追跡するためだ。



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