第71章 ザイオンの逆襲③

 俺は、眼下の光景にがっかりした。


「まずいぞ! 下は岩だらけじゃないか」

 思わず不満の声を飛ばした。


 どこを見渡しても、安全に降りられるような場所はなかった。なにか嫌な予感がした。そうなるまいと、地面一面に散らばる大小のごつごつした無数の岩を避けようと、慎重に降りていった。そこに、いきなり強風が吹いてきて流された。すると運悪く、高さが俺の長い脚? 程もある小岩に、ドスンと座るような形になった。


「痛ぇ!」

 飛び上がるように立ちあがり、あまりの痛さに、おかまのように体を捩じった。痛さはいままでで一番痛かった。


「おいこら! 痔になったらどうすんだ?! これで3度目だぞ! いったいなんなんだよ~!」

 尻をさすりながら、浣腸した小岩を睨みつけた。目の錯覚か、岩の頭が浣腸ポーズの指に似ていた。


「とんだ災難だ。落ち着いたら、たっぷりと、お礼をしてやるからな。待ってろ」

 まったく落ち度のない浣腸岩に、八つ当たりの捨て台詞を投げつけて肛門周りのケツを擦ると、急いで安全シートを外した。


 痛みが残るケツを擦りながら周りを見渡した。切り立った高さ20メートルほどの崖がすぐ間近にあった。もう一歩着陸場所を間違えれば崖下に転落して、痔どころの騒ぎではなかった。


 とそこに、崖沿いに黒い人影が現れた。ここからの距離はおよそ300メートル。人影も俺に気づいたようで、猛烈な勢いでここに向かって飛ぶように走ってきた。


 その異常な速さから、人影は何者か即座にわかった。ロボット兵だ。俺は浣腸岩の背後に身を伏せて、銃を構えた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る