第71章 ザイオンの逆襲②

 大気圏を突っ切り、オリンポス山を超えると、麓の平原で黒煙を上げている艦が見えてきた。そこから8キロほど離れた地で、戦闘をしている光景も見えてきた。最悪なのは、そこは町に近かった。町への侵略を防ごうと防衛隊が懸命に応戦しているが、全滅は時間の問題だ。数では千人対20数体と圧倒しているが、戦闘力はまったく次元が違う。万人でも勝てる相手ではない。5人、10人と、次々と倒されて、防衛部隊は後退をよぎなくされていた。


 俺は機を急降下させ、ロボット兵に襲い掛かった。次々とロボット兵たちをハチの巣にしてやった。掃討作戦だ。


「あの戦闘機を撃ち落とせ!」

 ザイオンが部下に命じた。


 ロボット兵たちは、防衛隊はもう眼中にないかのように、俺の機を一斉攻撃してきた。ガンッ! という音がした。2本のレーザー弾が、機体の一部を削りやがった。


「おっと危ねえ。お返しだ」

 俺はレーザー弾の嵐をかわし、逆襲に転じた。ブシュ! ブシュ! という発砲音の先には、ロボットの残骸が散らばった。中には運悪く頭に当たり首無しになった奴もいた。


「よっしゃあ、残り3匹の子豚だ!」

 軽口をつきながらレーザー弾をかわそうと、操縦レバーを限界点まで思いっきり切ったときだった。


「嘘だろ?!」

 俺は手に持ったレバーに眼をやり、思わず叫んだ。


 無理に操作したことで、折れたのだ。ぽっきりと折れたレバーを、眼を点にして見た。


「不良品かよ!?」

 いや、そうではなかった。俺の腕力が想像を超えていたのだ。


 戦闘機は空を彷徨うかのようにしばらく飛んだ後、地面に向かって急落を始めた。俺は脱出用ボタンを押した。今度は壊れないよう適度な力で。体は勢いよくプシュという音とともに外に弾かれ、パラシュートが開いた。


「戦闘機に乗っていた奴を片付けてこい」

 パラシュートを眼にしたザイオンが、部下の1人に命令した。


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