第71章 ザイオンの逆襲①

 俺は次の戦闘に備える手を休め、フォボスの地平線を壮麗に飾るミルキーウェイに眼を向けた。この美しい光景を、また眺めることができるだろうか? 

 感傷的な思いが、頭に過ったときだった。


「本部から連絡です。墜落船からロボット兵たちが出てきて、襲っているそうです」 

 キアヌの部下が報告してきた。


「奴らは全員、死んでいなかったんだ」

 俺は真っ先に声をあげた。


「俺が行く。あんたらは、予定どおり作戦を進めてくれ」

 キアヌが部下に口を開く前に、声を続けた。


「わたしも行くわ」

 アリーナがすぐに割って入ってきた。


「いや、俺一人で行く。これ以上、戦力を落とすわけにはいかない。ここで負けたら火星の住民は守れない」

 俺は強い口調で諭した。


「ロボット兵が何人いようと、戦闘機なら簡単に一掃できる。それより次に備えることが大事だ」

 アリーナの眼を真っすぐ見て、強い口調で語った。


「わかりました。ここは任せてください。火星の人たちを守ってください」

 キアヌが声をあげてきた。


「ああ頼む。火星で暴れている連中を退治したら、俺もすぐに戻る」

 キアヌと顔を合わせて声を返すと、また瞳をアリーナに向けた。


「宮島さん、気をつけて」

 アリーナが心配そうな顔で吐いてきた。


「ああ、ロボット兵たちを掃除したら、すぐに戻って来る。じゃあ、行ってくる」

 俺は声を返すと、作り笑いを浮かべた。


 心の中で、アリーナ、絶対に死ぬんじゃないぞ! と叫んでいた。そして気持ちを切り替えると、急いで自分の戦闘機に乗り込んだ。



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