第70章 防衛戦⑫

 敵の戦闘機の数が増えてきたことで、有利だった戦況は変わりつつあった。理由はまだ残っている迎撃砲の存在だ。迎撃砲の攻撃を受け、数での有利さが半減していた。また、人間の戦闘機がやられた。その間にも母艦から戦闘機が次々と出てきた。まだ戦況は優位だが、全部出てきたら勝敗は厳しくなる。やはりシミュレーションと実践とではまったく違う。たとえこの戦いに勝利できたとしても、次にやってくる連中に攻撃されたら、全滅するのは確実だった。


 キアヌは味方の被害を最小限にするためには、まだ出撃していない戦闘機と母艦を同時に破壊するしかないと思った。キアヌは交戦している2機の戦闘機を破壊すると、迎撃砲の激しい追撃をかわしながらゲートに向かって機体を突っ込んだ。


「え? まさか?!」

 なんとゲートの角に、宮島が張り付いていた。


 キアヌはゲート直前で自爆をやめ、艦体すれすれに飛んで衝突をかわした。そして機を反転させ、改めてゲートに眼をやった。

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