第70章 防衛戦⑩

 激しい戦闘音を全身に浴びながら、俺は艦体を駆け回った。次の標的が見えたときだった。武器を手にした4人が外に出てきた。ここで徘徊していることを知っていたようで、俺の姿を眼にするとすぐさま発砲してきた。てめらに、やられてたまるか! 脳裏に声を飛ばしながら、スパイダーマンのように逃げ回った。当然、4人は情けをかけて獲物を逃がしたりはしなかった。ワイヤーに頼る俺とは違って、4人は発砲を続けながら、アイアンマンのように飛んで追ってきた。


「まったくしつこい野郎たちだ!」

 俺は思わず声を飛ばした。


 4人が発砲したレーザー弾があっという間に俺を追い越していく。当たり前だが。弾に追い越されないということは、この俺が、お陀仏になるということだ。


「ネズミのように、すばしっこい奴だ。挟み撃ちにしろ」

 ムスリが命令すると、二手にわかれた。


 がそれが、俺に幸運をもたらしてくれた。後始末せずに、あっちこっちに散らかし放題にしていたワイヤーに、挟み撃ちにしてきた1人が体を引っ掛けやがった。態勢を大きく崩したそいつは、あらぬ方向に発砲した。撃った先には、運悪く仲間がいた。「グォ!」顔面を撃たれた仲間は断末魔の声を零し、宇宙の彼方へ旅立っていった。すると、仲間の一人が逆上したように撃った仲間を撃ち殺した。どうやらこの連中のリーダーのようだ。


 まったく仲間を撃ち殺すとは、最低な悪党野郎だぜ。もっとも俺にとっては好都合だが。その隙をついて、被弾して黒煙がまだ出ている中に逃げ込んだ。残った二人がすぐに追いかけてきた。

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