第70章 防衛戦⑨

「いったいどういうことだ? また迎撃砲の表示が消え続けているぞ! 迎撃隊長はどうした?」

 ザイオンは声を荒げた。


「それが、別の敵と応戦しているようです」


「私が退治してきます」

 副官のムスリが口を挟んだ。


「任せた。始末してこい」

 短く応えると、戦況がかんばしくない外に、怒りの眼をやった。


 また被弾して艦内がグラッと揺れた。迎撃砲が半減したことで、攻撃を受けやすくなり被弾するようになっていた。


「なぜだ? なぜ下等な人間ども相手に苦戦している?」

 ザイオンは苛立った声を飛ばした。


「どうやら、こちらの攻撃を読んでいるようです」

 戦況を分析している部下が報告してきた。


「攻撃を読んでいる? 馬鹿な。下等な人間どもに出来るわけはない」


「それに、どうやら戦っているのは、人間たちだけではないようです」

 分析をしていた部下が説明した。


「人間だけではない? なるほどそういうことか。この船外にいるネズミも、ガーピスの手下だろう。それなら合点できる」

 ザイオンは歯ぎしりするように口を歪め、拳を握った。



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