第70章 防衛戦④
死んだふりをしている俺の眼に、交戦の光景が映った。
「アリーナの奴、はじめやがったな」
独り言を喋ると、腹に大事に抱いている冬瓜、いや爆弾を手放した。爆弾には腕に装着してあるペンほどの超ミニ誘導ミサイルとつながっている。
狙いを定め、ミサイルを発射した。火星製の冬瓜、いや爆弾は、ミサイルの金魚の糞のように左舷の出入り口に飛んでいった。ドドーン! 爆発の閃光が俺の顔を照らし、爆弾はゲートを派手に破壊した。
その威力に驚いた。想像以上の凄まじい破壊力だった。こんな爆発力があるなら、あと2個、持ってくればよかったかな、と思った。もっとも、3個も持っていたら間違いなく怪しまれただろうけど。
「なんだいまの音は?」
指令室の強い揺れに不意をつかれたザイオンは、少しよろめいて声をあげた。
「左舷のゲートが被弾しました」
被弾個所を確認していた部下が報告してきた。
「なに? 左舷の方角にはなにも映っていないぞ。まさか? あの死体はどうなった?」
今度は声を張り上げた。
「死体は、まだ。あ、戦闘機です。死体の背後の右側に戦闘機が映っています」
部下が少し上ずったような声で報告してきた。
「ふん。脆弱な人間どもの戦闘機か。面白い。圧倒的な力の差を見せつけてやれ」
今度は見下すような顔で、戦闘機の発進を命令してきた。
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