第70章 防衛戦③

「本部から連絡が入りました。クレオパトラは死んでいるとのことです」

 部下の報告に、ザイオンは画面に映る姿を確かめるように眼を注いだ。


「なんだと? ではあの女は、誰なんだ? 女と交信してみろ」

 ザイオンは醜い仮面のような顔を歪め、即座に命令した。


「ザイオン様、あの女は別人ですか?」


「いや、髪の毛の色は違うが、確かに外見はクレオパトラだ。まさか……ガーピスの奴に捕らえられて、脳を入れ替えられた?」

 ムスリに答えると、ザイオンは途中から独り言を零した。


「女を捕らえろ。ガーピスの秘密を聞き出せるかもしれない」

 ザイオンは続けて命令を発した。


「あ、女が発砲してきました!」

 戦闘機から閃光が離れた。空母は被弾し、指令室が少し揺れた。


「被弾したのは左舷の出入口の一部です!」

 指令室の監視画面は、煙が上がっている様子を映し出していた。


「たった1機で空母を破壊できると思っているのか? 馬鹿な女め。応戦しろ」

 画面を殺意の眼で睨みながら命令を下した。

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