第67章 小惑星帯

 ゲバラと大谷が乗った船は、アモール群に到達した。アモール群とは、地球と火星間の小惑星帯のことだ。どの星も直径が数キロしかなく、小惑星というよりは巨大な岩の塊のようにしか見えない。


「ゲバラさん、ガーピスから連絡が入りました。別にガイガーの戦艦2隻が金星から火星に向かっているそうです」

 船を操縦している部下の周が報告してきた。船には、他に15人の隊員が乗っていた。

 みんな火星の人々を救うために集まった、優秀なパイロットたちだ。


「なんだと? 戦艦2隻が火星に向かってる?」

 ゲバラは驚いた顔で、確かめるように聞き返した。


「はい、間違いありません。しかしいったいなぜ? ガイガーは地球からではなく、金星から火星に向かわせたのでしょうか?」

 周が首を傾げるように、逆に訊き返してきた。


「んん。ただ単に火星にいる人々を殺すのが目的ではないな。それなら、1隻だけで十分なはずだ」

 ゲバラは思案しながら答えた。


「ゲバラ。母も殺されるのか?」

 側にいる大谷も青ざめた顔で聞いてきた。


「いや、絶対にそうはさせない。周、操縦を俺に代われ。奴らに追いつく。みんな、体を固定しろ! 超光速に切り替える」

 ゲバラは操縦席に座ると、手動に切り替えてハンドルを握った。


 そして加速を開始した。ここからだと1日で火星に到達できる。


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