第65章 仮想戦⑤
訓練を始めて、10日経った。なのに、俺の戦闘能力はというと、殺される秒数が少し伸びただけだ。今日は23秒も生き延びることができた。もちろんそれで喜んでいいわけはない。23秒後には、殺されているのだ。
体の節々がすごく痛い。シミュレーションといっても、実戦なのでは? と錯覚を起こしそうな訓練になっていて、撃ち落される度に体に衝撃を受けるのだ。
21世紀前半に流行っていた、戦闘ゲームのような娯楽レベルではないのだ。娯楽レベルだと、自分が本当に殺されてしまうという危機感が身に伝わらない。だから、本当の実戦では思えるような模擬訓練が必要なのだ。なので、撃たれた衝撃もはんぱない。元の老人の体なら訓練に耐えきれず、本当に死んでいるだろう。
まあ俺のやられっぷりも、まったくひどいもんだが、ガガーリンが率いる人間の部隊も苦戦していた。5対1ではほとんど負けていた。7対1でどうにか勝てているような状況だ。一方、キアヌの部下たちは1人で3機を相手に戦い、撃破していた。だが4機が相手だとやられていた。4機相手に勝てるのは、キアヌとアリーナの二人だけだ。
防衛軍の勝利の確立はまだ40%にも届かない、厳しい状況だ。人間の交戦力がもっと上がらないと。特に、俺の腕が問題だ。
「宮島さん、これからは、わたしとペアを組んで戦いましょう」
アリーナが見かねたように吐いてきた。
その言葉に従って、俺は彼女とペアを組み、訓練を再開した。だが、結果はというと、大成功? いや、同じだった。殺される時間が、45秒まで伸びただけだ。
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