第63章 フェニックス⑥

「え? ゲバラが!?」

 知らせを受けたジュンは、避難民の救助活動を中断して本部に飛んだ。


 そして本部に戻ると、施術室の自動ドアを蹴破るような勢いで室内に入った。そこで目にしたのは、死体のように治療台に横たわっているゲバラだった。


「ゲバラ~!」

 すぐ傍に駆け寄り、眼を開けさせようと声を張り上げ、体に抱きつこうとした。


「ジュンさん、落ち着いてください」

 立ち会っていたマルケスが制してきた。


「ゲバラの容態は?」

 ジュンは取り乱したまま、縋るように訊いた。


「頭の中が、相当なダメージを受けています」

 スタッフ4人と治療を施したガーピスが答えてきた。


「ヒューマノイドの体は、水深800メートルの圧力にも耐えられますが、ゲバラを救出した場所は、水深1500メートルです」

 ガーピスが続けてきた。


「水深1500メートル」

 ジュンは驚いた声を上げた。


「その水圧に耐えようとしたのでしょう。ゲバラは、その水圧と戦った代償として、脳の神経回路も全部切れています。再生できるかどうかは、五分五分です」

 曇った顔で説明を続けてきた。


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