第61章 殺るか殺されるか⑥

 ブシュ! ブシュ! という発砲音が通路に響き、ヒムラーが襲い掛かってきた。その暴風のような激しい攻撃に、ゲバラたちは耐えていた。ここでは空中と違って擬態の効果はなかった。


 ヒムラーたちは擬態を見破る機能がある赤外メガネをかけていて、ゲバラたちの動きをはっきりと捉えていた。しかも相手の数は20倍近い。普通なら勝負は見えていた。


「ゲバラ。これでは前進どころか、こっちがやられてしまう。他のグループに援軍を」

 背後の壁にへばり付くように隠れていたマルケスが声を飛ばしてきた。


「いや、ここは俺たちだけで奴らを倒す。周りを囲まれていたら勝ち目はないが。相手は前方だけだ」


 ゲバラは天井に狙いを定め、継ぎ目に連射した。破壊された天井が鈍い音を立てながら落下して、ヒムラーの部下10数人が下敷きになった。その隙をついて、ゲバラは壊れた部分にワイヤーを着弾させると、すぐさまスパイダーマンのように変幻自在に飛びなら、掃討するように銃を連射し続けた。11人が頭部や胸を破壊され、その場に転がった。


「まったくたいした男だよ。ゲバラは戦う度に戦闘力が増している。さあ、俺たちも前進だ!」

 ゲバラの右腕、キドが号令をかけた。


 5人は背中の盾を防御に使い、左右に散開して前に進んだ。双方の激しい銃撃戦がまた始まった。ブシュ! ブシュ! ヒムラーの部下たちの生首が腕が宙に飛び、壁が、床が抉られた。




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