第61章 殺るか殺されるか②
煙が立ち込めるエンジンルームに侵入したゲバラは、背後に顔を向けた。
「残りはどうした?」
集まったメンバーを見渡して、マルコに訊ねた。
「途中でやられました」
マルコが肩を落とすように答えてきた。
「そうか。だが、俺たちも生きて出られるかはわからない。もしかしたら、全滅するかもしれない」
ゲバラは全員の顔に眼をやり、士気を鼓舞した。
「命が惜しければ、ここには来ません。みんな覚悟はできています」
隣に立っているパウロが眼を真っすぐ見て吐いてきた。
「どうして? あなたたちは、そこまでやるの?」
西施が不思議そうな顔で吐いてきた。
「こんな地球にした元凶は、人間の強欲な悪党どもだが、人間がいなければ俺たちはこの世に存在していない。権力を握っていた悪い人間はみんな淘汰された。生き残っている人々は、ごく普通の人間たちだ。この戦争で、人間を滅ぼさせるわけにはいかない」
ゲバラは力を込めて語った。
西施はその言葉に、まだどこか納得しかねる顔をしていた。それでも初めて会ったときよりは彼女の行動は劇的に変化していた。ある日のこと、ガイガー軍と戦っているとき、戦場から逃げ遅れた人間の少女を、彼女が助けたのだ。
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