第61章 殺るか殺されるか①

 ドッカーン! ブシューン! 撃破音と発砲音が入り乱れた。数では圧倒的に劣るが、その中にあって、クレージーホースはひょっとしてインディアンの戦士の血でも混ざっているのでは? と思えるほど勇猛果敢だった。1人で5機を蹴散らしていた。部下たちも1対3の相手に互角の戦いを続けていた。そこに電磁パルス被害を回復した旗艦機が反撃してくると、戦況はがぜん混とんとなった。クレージーホースの部下たちも、次々と撃墜されていった。特にガイガーの旗艦機の攻撃が、クレージーホースたちを苦しめた。


「お前の相手は、この俺だ」

 遅れて戦場にやってきたゲバラは、旗艦機を睨んだ。


 旗艦機は、近づいても攻撃してこなかった。どうやら、ゲバラが乗る戦闘機を自軍だと思っているようだ。ゲバラの読み通りだった。


「んん? あの戦闘機を破壊しろ!」

 不審な動きに、一早く気づいたガイガーが部下に命令した。


 だが、時既に遅しだ。ゲバラの戦闘機は左側エンジン部に派手に激突した。エンジンは大破し、旗艦機はぐらぐらと大きく傾いた。墜落は免れたが不安定な飛行になった。そのせいで、旗艦機は照準が絞れず、クレージーホースたちの機を撃ち落とすことができなくなった。


 ゲバラは衝突の直前に脱出した。そしてすぐさま大きく穴が開いた箇所からエンジン室に侵入した。その後を追うように、擬態しながら飛んできた48人の部下たちも中に侵入してきた。




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