第60章 連合戦開始⑥

 ガイガーを追ったゲバラの眼に、黒いハチの大群のような光景が見えてきた。そこに、大王の生き残っていた戦闘機が現れた。その数は、5、6千機ぐらいだろうか? 果敢に攻撃をしかけてきた。


 両軍の激しい攻撃が始まった。双方の戦闘機が撃破される音が空中を震わし、戦闘機が北極海に次々と落ちていった。だがその数は大王軍が圧倒的に多い。このままでは大王の戦闘機が全滅するのはほぼ確実だ。助けてやりたいが、むやみにここで加勢すれば、逆に事情を知らない大王の戦闘機に撃たれる可能性もある。


 大王の戦闘機は2千機を割り、全滅するのも時間の問題になった。それでも退却する気などさらさらないようで激しい攻撃を仕掛けていた。だがさすがに1対10では一方的な集団暴行のようになった。


「作戦開始」

 戦況を見ていたゲバラは独り言を零した。


「作戦開始だ」

 海底で待機して息を潜めていた鑑真が、部下に命令した。


 ザザーン! ザザーン! という海面を切る音を飛ばし 潜水艇からミサイル弾が次々と放たれた。放たれた500発のミサイルが戦場となっている空で爆発した。ミサイルは究極の電磁波パルス弾だった。一発の及ぼす範囲は200メートルと小さいが、破壊力はどんな防御も役に立たない絶大な効果があった。両軍の戦闘機は、次々と海中に墜落していった。


 ミサイルはガイガーが乗る旗艦機にも当たった。だが全長600メートルもある超巨艦だ。激しくぐらついたが、墜落するまでにはいたらなかった。一方、全長200メートルほどの5機の戦艦は飛行できずに海上に落ちた。だが艦が壊れたわけではなかった。数分以内には墜落した5機の戦艦、戦闘機も再起動して襲い掛かってくるだろう。

 その前に、破壊しなければならない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る