第60章 連合戦開始⑤

 ゲバラたちは、6機の背後に迫った。


「奴らは、ひどく混乱しているだろう。肉眼で見えるのは前の3機だけ。だがレーダーに映っているのは3+18だ。その18はやけに小さくて、しかも肉眼では見えない」

 ゲバラは隣を飛行する部下のマルコに話した。


 ブシュ! ブシュ! 空気を切り裂く双方の発砲音が飛び交い、3機と6機の空中戦が始まった。だが6機は18の不明物体に気を取られ、戦闘に集中できないようだった。


「ヘマをして撃ち落とされるなよ」

 ゲバラは加速して、ターゲットの1機に近づいた。


 ゲバラは、ターゲットにおよそ100メートルまで近づくと、鏃弾を放った。弾は機体の背後に命中した。弾に装着したワイヤーが一直線に伸びると、ゲバラの体は機体に引き寄せられた。というより、ゲバラがワイヤーを巻き戻したのだ。

 ゲバラは機体にへばりつくとすぐさま態勢を整えて、今度はレーザー銃を腰から抜いて構えた。窓を開け応戦しようとしてきたパイロットを射殺した。そして、操縦席に入ると射殺したパイロットを掴み外に放り出し、操縦桿を握った。

 敵の戦闘機の奪取に見事、成功だ。


「まったくたいした男だぜ」

 マルコがみんなの声を代弁した。


 3機+17人にハチの巣にされ墜ちていく残り5機とは別に、戦闘機を乗っ取るというありえない芸当に全員が舌を巻いた。


「俺はあいつらの軍に紛れ込む。先に行くぞ」

 ゲバラは何事もなかったかのように戦闘機を操ると、ガイガー軍の後を追った。



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