第60章 連合戦開始③
ゲバラたちは待ち続けたが、時間だけが流れていった。いや、流れているのは時間だけではない。罪のない人々や動物たちの殺戮された血も流れている。
「ガイガーは出てきませんね」
西施とすっかり仲良くなっているレオナルドが、しびれを切らしたように小声で喋ってきた。
ガイガーは出てくると確信していたゲバラの心も、揺らぎ始めていた。それでも、ここまできたら自分を信じて待つしかない。シールドに守られた鉄壁の牙城をまた手勢で攻撃しても返り討ちにあうだけだ。
西の赤い空に続いて東の空もだんだんと明るくなってきた。戦闘によるものではない。夜明けだ。すると、スズメバチの大群のようにガイガー軍が出てきた。続いて黒い戦艦も5機、そして、ひと際大きな艦も出てきた。
「奴だ。ガイガーが出てきた」
ゲバラは冷静さを一瞬忘れ、少し高揚した声を落とした。
しかし、ゲバラの眼は落胆の色にすぐに変った。飛んでいくガイガー軍の数が予想以上に多かったからだ。戦闘機の数は3万を超えている。こちらの10倍の戦力だ。
だがもうやるしかない。圧倒的な戦力差だからといって、いまさら退却などできない。みんな、その覚悟で集まっている。
「作戦変更だ。これから作戦Xを実行する」
ゲバラは強い口調で全員に命令した。
作戦Xとは、ガイガーの首だけを狙う玉砕戦法だ。それは、多くの仲間がこれから死ぬことを意味していた。最悪、一人も生き残れないかもしれない。
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