第60章 連合戦開始①

 ゲバラたちは、ガイガー軍と大王軍の激しい戦闘の模様を眺めていた。生きとし生けるもの全てを焼き尽くす凄まじい戦闘だ。このまま続けば人類どころか、本当に全ての命が奪われてしまいそうだ。


「大王は、あんたの言うことを信じるかな?」

 並んで見ていたクレージーホースが、疑心暗鬼の声を吐いてきた。


「いぜん俺は、シベリアで奴の軍を助けたことがある。この劣勢気味の状況下では、奴は猫の手も借りたいだろう。大王の軍が俺たちを攻撃しなければ、それで十分だ」

 ゲバラは戦闘を続ける両軍に怒りの眼をやりながら、強い口調で応じた。


「ゲバラすまない。あんたを応援できる戦闘機は200だけだ。主力部隊は本部の防衛と難民たちの救出に全力を注いでいる」

 モニターに映ったカストロが、申し訳なさそうな顔で説明してきた。


「いや200機でも助かる。ありがとう。本部は、人間たちを救う最後の砦だ。必ず守り抜いてくれ」

 ゲバラは即座に返答した。


「それと、ジュンはどうしてる? あいつのことだ、また無茶をしなければいいが」

 ゲバラはずっと気になっていることを訊いた。


「大丈夫だ。俺の部下が守っている。心配ない。ジュンはいま、避難民たちの救出をしている」

 カストロが問題ないという顔で応じてきた。


 だがゲバラには、額面通りには受け止められなかった。ジュンの性格は、誰よりもよく知っている。だからといって、この場を離れるわけにはいかない。

 ジュンが無事であることを祈った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る