第59章 三者連合⑤

「ちょっと待ってくれ。あんたたちは、この俺を買いかぶりすぎだよ。俺は3千人の命を背負えるような存在ではない」

 ゲバラは要請をやんわりと断った。


「いや俺たちには、あんたの戦法が必要だ。ガイガーを倒すためなら、命を惜しむような兵士はここにはいない」

 クレージーホースが、奪われた土地を取り返そうと、アメリカの騎兵隊に挑んだ戦士のような顔をして両手を広げ、声を飛ばしてきた。


「この戦いは恐らく、ガイガーを倒す最後のチャンスになる。大王は悪魔そのものだが、ガイガーは大悪魔だ。奴を倒すには、ここにいるみんなが協力するしかない」

 鑑真が強い決意を滲ませたような口調で言ってきた。


「……」

 ゲバラは声を返せずにいた。


「俺たちは、あんたの命令に従う。だから引き受けてくれ」

 クレージーホースがまた眼を真っすぐ見て、強い口調で要請してきた。


「ゲバラさん、あなたはガイガーを倒したいんでしょ?」

 西施が割って入るように、背後から声をあげてきた。


 ゲバラは声を返さず、集まった面々に眼をやった。それぞれ顔は違うが、みんなも同じような意思を持った目をしていた。


「わかった。最後まで命令に従うと約束するなら、引き受けよう」

 ゲバラは二人の眼を見ながら、はっきりとした口調で応じた。


「よし決まりだ。これは桃園の誓いではなく、雪原の誓いですな」

 鑑真が三国志をもじって明るい声で吐いてきた。


「あら、わたしもいるわよ」

 西施が子ペンギンをあやしながら、不服そうに口を挟んできた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る