第59章 三者連合④
ゲバラたちは、北の空に眼をやった。成層圏まで焼き尽くしてしまいそうなほど、空は真っ赤になっていた。今度こそ、地上から人類は消滅するかもしれない。
ゲバラは怒りを露わにした眼で見ていた。人々を救い出しに行きたいが、その方法などない。止める方法は一つしかない。ガイガーと大王を殺害することだ。
「ガイガーと大王を倒すには、別々のゲリラ活動では、到底不可能だ。これまでの経験がそれを証明している」
鑑真がさっそく話を始めた。
「そこで、俺たちは手を組むことにした」
クレージーホースが継ぎ足すように、声を上げてきた。
ゲバラは二人の話に口を挟まず、黙って聞いていた。
「なるほど。このままでは、いずれガイガーたちにやられてしまうということか」
話が煮詰まってきたところで、ゲバラは口を挟んだ。
「ああそうだ。俺たちが倒せる相手は雑魚ばかり。そいつらを倒すのに大事な仲間を大勢失ってきた。このままではガイガーと大王を倒すどころか、いずれ俺たち全員がやられてしまう」
クレージーホースが曇った顔で吐いてきた。
「それで? 俺にどうしろと?」
ゲバラは二人の顔に眼をやり、ここに呼ばれた理由を訊ねた。
「あんたの優れた戦略は、俺たちには真似できない。だがゲバラさん。いくら優れた作戦を持っていても、それを実行する仲間が、あなたにはいない」
クレージーホースが周りにいる23人の部下に眼をやった。
ゲバラと共に、死線を渡り歩いてきた同志たちだ。
「あなたに、俺たちの総指揮を執ってもらいたい」
鑑真が眼を真っすぐ見て、声をつないできた。
「俺が、あんたたちの総指揮を?」
ゲバラはまったく予想もしなかった言葉に、驚いて訊き返した。
「ああそうだ」
クレージーホースも眼をまっすぐ見て、答えてきた。
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