第59章 三者連合③

 東洋系の顔をしたヒューマノイドたちが、鑑真の背後にずらりと並んだ。


「驚いたな。これだけの人数が、大王に反旗を翻しているとは」

 ゲバラは周りを見渡し、声を返した。


「ここにいるのは一部だ。仲間は2千人いる」

 鑑真が眼をまっすぐ向けたまま答えてきた。


「2千人?」

 ゲバラは驚いた口調で聞き返した。


「ああそうだ。もうそろそろやってくるクレージーホースの仲間を合わせたら、3千人になる」

 鑑真は声を返すと、瞳を宙に向けていた。


 その視線の先に、機影が見えた。1機、2機と、数が増え、12機となり、1機が目の前に着陸した。

 そして、搭乗口が開くと5人の男が出てきた。どうやら中央に立っている屈強な体格をした人物が、クレージーホースと言う名の男のようだ。


 それにしても、ネイティブアメリカンの英雄の名前を名乗るとは。初めに登場した鑑真といい、もっと新世代にマッチした今風の名前をつけろよ、と注文をつけようと思ったが、ゲバラはハッとした。考えてみれば、自分の名前もキューバの英雄と同じだし、西施も古代中国の美女の名前だ。


 いったいこの作者は、何を考えているんだ!? きっと作者は、名前を考案する知力がないのだ。それで取って付けたような名前ばかりになっている。


「あんたが、ゲバラさんか? 噂は聞いている。俺の名は、クレージーホースだ」

 クレージーホースが前に出てきて、握手を求めてきた。


「そうだゲバラだ」

 ゲバラも手を伸ばした。


 ゲバラは続けて、どうして? その名前を名乗っているのか? と訊こうと思ったが、やめた。いまは名前など、どうでもいいことだ。別に鉄人1号、2号や、いや2号は、変な誤解を招くか。まあ、助太刀をしてくれるなら、どんな名前でもいい。


 クレージーホースがガイガーに反旗を翻したのも、鑑真と同じような理由だ。人間を虫けらのように殺戮し続けていることに嫌気し、賛同する仲間を連れてここに来たのだ。


 実は、二人ともゲバラと同様、人間の手によって造られたヒューマノイドで、ガイガーや大王の手によって造られたヒューマノイドではなかった。



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