第59章 三者連合②

 目には見えないが、雪の中で何かがうごめいているように思えた。ゲバラはさらに神経を研ぎ澄まし、それが何かを確かめようとした、とそのときだった。雪原の中から3人の男が目の前に現れた。


「よう西施、元気そうだな。しかし、おまえ別人のようになったな」

 いきなり中央に立っている男が喋ってきた。


「ええ、この通り、元気よ」

 男の言葉を無視するように、西施が元の男勝りの声で応じた。


「あんたが、ゲバラか? あんたのことは聞いている。北極海の戦闘でガイガー軍を翻弄した活躍は、本当に素晴らしかった。たいしたもんだ」

 男が眼を合わせて、明るい声で吐いてきた。


「彼が話していた。鑑真よ。大王に逆らって、今では命を狙われているわ」

 西施が説明してきた。


 ゲバラが想像していた男と違っていた。想像していたのは、あの鑑真和尚のようなやせ細った坊主頭の男だった。が目の前の男は、格闘ゲームに登場しそうな屈強な男だった。西施の話によれば、大王の冷酷なやり方に反発した鑑真は、大王軍と戦ってきたそうだ。


「ゲバラだ。よろしく。仲間はその二人だけか?」

 ゲバラは銃を下ろし、親しげな口調で挨拶した。


「いや、他にも来ている」

 鑑真が声を返すと、周りの雪原がもくもくと動いた。


 いや雪原が動いたのではない。雪原に隠れていた鑑真の部下たちだった。現れた人数は、少なくとも300人はいそうだ。


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