第56章 巨大隕石⑫

 俺たちは急いで穴が開いたシートの補修をした。その最後の補修にかかろうとしたときだった。周りがガラガラと大きく揺れだした。次に猛烈な熱風が襲ってきた。防寒防熱の衣服を付けているが、それでも熱湯を浴びたような熱さが身を襲った。


 それでもシートは持ちこたえていた。さすがは、アリーナが考案したシートだ。だが、別の黒く焦げ付いた箇所が、気になった。まだ大きな岩石が乗っかっており、重量で焼け落ちそうだった。

 その下には、避難壕に入れなかった人たちがいた。みんな必死に熱さに耐えていた。


「まずい! 岩石が落ちる!」

 俺は思わず声を飛ばした。


 その真下にいる人たちも落下の気配に気づいたようで、自分の体を固定していたロープを急いで解き始めた。岩石が乗った凹んだ部分が破れだした。


「岩が落ちるぞ!」

 ロープを解いていた誰かが叫んだ。


 みんなロープを外し、その場から逃げ出した。いや、1人が焦ってロープを解けずに、その場でもがいていた。


「落ちる!」

 その叫び声より先に、俺の体が反応した。


 矢のように飛び出すと、取り残された男の胴体をロープごと強引に引っ張りあげ、その場から逃れた。


 ドスン! という鈍い音を辺りにまき散らして、焼けた岩石を落ちた。石の欠片が背中を叩いたが、間一髪のところで岩石の下敷きはどうにか逃れた。


「大丈夫か?」

 俺は助けた男に声をかけた。


「ええ、大丈夫です。助けてくれて、ありがとうございます」

 男は恐怖が収まらないようで、ぎこちない震え声で礼を述べてきた。


 俺は男の腕を掴み、みんながいる場所に駆けこんだ。

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