第56章 巨大隕石⑩

「なんてこった。トリプルパンチかよ」

 俺は絶望感から逃れようと独り言を零した。


 そこに俺の心を少し落ち着かせる声が聞こえていた。


「落下の衝撃波に備えて!」

 アリーナの声だ。だが叫ぶような声に、また絶望的な気持ちが増してきた。


 周りでは追い打ちをかけるように、バタバタというシートを叩く音が避難所を支配し、俺たちの命を奪わんと竜巻は暴れていた。このままだとシートを引き裂いて腕が侵入してきそうだ。すると、そこにシートの上が突然パーッと明るくなった。少し間を置いて大地が地震のように揺れ、ドーン! という音が聞こえてきた。

 巨大隕石が落下したのだ! 俺はすぐに、レーダーに眼を注いだ。


「爆風がくるぞ! みんな気をつけろ!」

 俺は思わず叫んだ。


 ゴォー! という音を響かせ物凄い爆風が、シートの上を襲ってきた。隕石の爆風は、竜巻も吹き飛ばした。だが、代わりに黄色い火の粉が次々と飛んできた。中には火の塊もあった。シートに当たれば焼き尽くしてしまいそうだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る