第56章 巨大隕石②
俺たちは調査を中止して、急いで本部に向かった。いつもは静かな本部が、ハチの巣を突っついたように騒がしかった。どうやらその様子からすると、まだ何も対策を決めてはいないようだ。
「隕石は、いつ火星にやってくるのだ?」
駆けこむようにして対策室に入った俺は、部下たちと対策を練っているマルコフに即座に訊ねた。
「あ、宮島さん、アリーナさん、恵美さんも」
マルコフは3人の顔に眼やりながら声をかけてきた。
「隕石は、1週間後です」
画面に眼をやり説明してきた。
「隕石の大きさは?」
俺は画面を食い入るように見たまま質問を続けた。
「隕石の直径はおよそ800メートルです。木星との間にある小惑星帯から弾かれた隕石のようです。逸れてくれたらいいのですが」
マルコフが青ざめた顔のままで答えてきた。
「小惑星帯から?」
俺は目を丸くして訊き返した。
「おそらく、彗星でも衝突して、玉つきのように弾かれたのだと思います」
座標を計算していたアリーナが代弁してきた。
「残念ですが、火星への衝突は避けられません。直撃です」
計算を終えたアリーナが衝撃の言葉を吐いてきた。
その発言に、全員の顔が凍り付いた。当然だ。直径が800メートルもある隕石が直撃したらどうなるか? 下手をすれば、対策を練ってきた彗星が衝突しなくても、その前に町が壊滅する恐れもある。
対策室が氷の部屋のようになった。俺の背中に、悪寒が走った。
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