第44章 火星到着④

 6人乗り車の前方の座席には出迎えた男二人が座り、真ん中の座席には俺とアリーナの二人。後部座席に二人が座った。


「もうヘルメットを取っていいですよ」

 助手席に座っていた男が先にヘルメットを脱いで促してきた。


 俺たちは言われたとおり、被り物ヘルメットを脱いだ。すると、俺たちの顔を眼にした4人は、驚いた顔になった。多分、俺の顔が想像していたよりも、若い顔をしていたからだろう。


 竜司の父親なら、老人の皺だらけの顔を想像していたはずだ。それとアリーナの存在だ。彼女の顔を、二度見していた。中には、3度見する男もいた。まさか、パイロットがこんな絶世の美女だったとは、まったく想像もしていなかっただろう。


 そうこうしているうちに、車は巨大ドームをくぐり施設に到着した。車を出ると20人ほどの出迎えがいた。今度は若い女性が5人混じっていた。結構な美人も2人いる。白人の女だ。東洋系と思われる3人はまあまあの感じだ。まあ、あくまで俺の好みの問題だ。白人より東洋人が好きな男は3人がいいだろうし、国によってはデブが美人だそうだから、やはり一番は、心が綺麗かどうかだろう。


「お二人とも、ようこそ火星へ。私は、ここの長官をしているマルコフです。彼は副長官の宋憲です」

 中肉中背の中年の男が、微笑みを浮かべながら挨拶し、同じ体型の中年の男を紹介してきた。


「宋憲です。ようこそ火星へ。あなたが、宮島さんのお父さんですか? あの失礼ですが見た目が年齢よりも、ずいぶんとお若いのでびっくりしました。まるで竜司さんと兄弟のように見えます」

 宋憲が驚いた顔のまま挨拶してきた。


 俺を見る眼は、周りも同じような色をしていた。無理もない。年齢どおりなら、高齢の老人のはずだ。ところが、立っている男は老人ではなく、中年の男だ。しかもアスリートのような筋肉隆々の体型をしている。



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