第44章 火星到着③

 俺とアリーナを乗せた着陸船は、火星の大気圏を潜り抜け、管制官から指示された地点を目指した。炎に焼かれた大気層を抜けると、オリンポス山などの巨大火山群、大峡谷が大きく見えてきた。中でも、目に付いたのはクレーターの多さだ。


 やはり地球とは似て非なる惑星だった。だが、いずれは地球によく似た青い惑星になるはずだ。高度が下がるにつれて、視界に広がってきた森や草原、緑の大地に、小さな湖も見える。まだ海はないが、いずれ第2の地球と呼ばれるようになるだろう。


 オリンポス山を横目にしながら降下していくと、巨大ドームにすっぽりと包まれた町が見えてきた。町までもできているとは、俺の想像以上に火星の開発は進んでいた。


 船は管制官の指示に従い、そのドームから少し離れた場所に整備されている離発着場に近づいていった。だんだんと近づくにつれ、離発着場の端には管制塔を背に4人の人物が立っていた。どうやら、俺たちの到着を待っているようだ。


 操縦窓から、目線の高さに地平線が見えた。火星に到着だ。キシューンという音と共にハッチが開き、俺たちは火星の地に降り立った。


 そこに、窓から見えた4人が並んで立っていた。その姿からして、どうやら4人とも男のようだ。


「ようこそ、火星へ。中に案内しますので、これに乗ってください」

 一番前に出てきた背の低い男が、歓迎の言葉を吐いてきた。みんな有害な放射線を防止するヘルメットを被っているので、顔はよくわからない。


 俺たちは言われるまま出迎えの大型車に乗せられ、管制塔に併設されている建物の入り口に向かった。

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