第44章 火星到着②
これが、新しい火星の姿か。俺は、竜司が変えた火星の光景に、見入っていた。
「管制室、聞こえますか?」
アリーナが地上とのやり取りを始めた。
「こちら、管制室、その船はどこからですか?」
管制室から返事がきた。
「こちらは、GPB(ガーピスベース)から来ましたZXB001です。着陸の許可を願います」
アリーナが澱みなくテキパキと答えた。
「GBP? 乗員は何名ですか? 船には誰が乗っていますか?」
警戒もしているような口調で訊き返してきた。
警戒するのも当然だろ。母なる地球で、みんなひどい目に遭った人たちばかりだ。即座に信用することなどできない。
「乗員はパイロットのわたしと、あと1人。2名です」
アリーナは答えると、暗号信号を送った。
「それで、その乗員名は?」
暗号信号を確認した管制官が警戒を解いた声で答えてきた。
「宮島竜司さんのお父さんです」
アリーナが同じ口調で答えた。
「え? 宮島さんの父? 本当に、本当に宮島さんの、お父さんですか? お父さんは、生きていたんですか?」
今度はひどく驚いたような声で管制官が訊いてきた。
「はい。宮島さんのお父さんです」
アリーナは同じ口調で応じていた。
「わかりました。了解、着陸を許可します。ようこそ火星へ」
少し興奮気味の、歓迎の口調に変った。
そんなに俺は、火星で有名人なのか? ひょっとして、スーパースター?
ま、冗談だが。有名なのは息子の、竜司のほうだった。
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