第41章 思わぬ展開⑤
大王のもとを離れて、引率野郎に連れられ駐機場に足を運んだゲバラは、目の前の奇妙な形をした機体に驚いた。まるで擬態昆虫のように、機体の色が背景の構造物と同化している。なるほど、これなら空や海、大地の上を堂々と飛んでいても相手に気づかれにくいということだ。そういえば、どこか巨大昆虫のようにも見える。
「ゲバラ!」
その声に振り向いたゲバラはまったく予想もしなかった光景に、驚くと同時に歓喜の顔を浮かべた。
声をかけてきた相手は、部下のゲレーロだった。他に4人の部下も並んで立っていた。撃墜されたときに殺されたものと思っていたが、機から脱出に成功して生き延びてくれていた。
「おまえたち、生きていたのか」
ゲバラは嬉しさのあまり、少し興奮した口調で訊いた。
「はい。この連中に捕まったとき、少し手荒い扱いを受けましたが」
ゲレーロが皮肉るような口調で答えてきた。
「その5人も解放する。一緒に連れていくといい」
そこに、引率野郎が表情を変えず、恩着せがましく声を投げてきた。
続いて擬態昆虫から、いや潜入機から8人の黒装束のヒューマノイドが出てきた。
「この者たちが、おまえたちと行動を共にする」
引率野郎が続けて声を投げてきた。
「ゲバラ、こいつら一緒に行動するのですか?」
ゲレーロが不満だという顔で訊いてきた。
「ま、そういうことだ。不満だろうが、目的は一つだ。俺たちの手で、ガイガーを倒す」
「出発しろ」
引率野郎が催促してきた。
ゲバラたちは黒装束たちに連行されるような形で、機内に入った。中は薄暗くて、外を覗けるような窓もなかった。窓は操縦席の前だけだ。ゲバラたちを乗せた潜入機はふわりと浮くと、外に一気に飛び出した。そして海上を目指した。
「彼らはいま、どこに向かっているのですか?」
隣の座席に座っているゲレーロが、操縦席に眼をやりながら訊いてきた。
「アメリカ大陸への直行だ。俺たちは、ガイガーの首を直接取りに行く」
ゲバラは短く答えると、操縦席から見える海上に瞳を注いだ。
海上を低空で飛んでいた潜入機は、海中に潜った。そして、潜入機は空色から海底の色に擬態した。
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