第41章 思わぬ展開③

 この怪物が大王なのか? ゲバラは巨人を眼にして表情は変えなかったが、胸の内では驚いていた。鰐のような皮膚をした顔は、中国の大王というよりは戦闘ゲームに出てくる魔王そのものだった。


「なぜ? 我々を助けた?」

 ドスの効いた声で訊いてきた。


 やはり雰囲気からして、どうやらこいつが大王のようだ。ま、どっちみち目の前にいる奴は、ガイガーと同じようにアバターだろう。こいつの本体は滅んだ中国かロシアの地にでもいるのだろう。


「あんたに、まだ死なれると困るからな」

 ゲバラは捨て台詞のような口調で応じた。


「こいつ、大王様に」

 引率してきた奴が怒った声を飛ばし、襲い掛かろうとしてきた。


「やめろ! まあ、いい。それにしても、たいしたものだ」

 大王は制止すると、観察するような眼を向けてきた。


「わずかな戦闘機の数で、ガイガーのロボットたちを翻弄するとは。おかげでガイガーのロボットを全滅させて敗走させることができた。おまえを気に入った。どうだ? 俺様の手下にならないか? おまえの能力なら、大隊の司令官をさせてもいい」


「評価してくれるのは光栄だが、あんたの仲間になるつもりはない」

 ゲバラは両手を軽く広げ、やんわりと断った。


「だったら、ここで死ね」

 引率野郎が、また殺意剥き出しの声を飛ばしてきた。


「俺は、ガイガーを倒すことしか考えていない。あんたの仲間にはならないが、倒すべき相手は、あんたと同じだということだ」

 ゲバラは引率野郎の脅しにも表情を変えず、淡々と応じた。


「なるほど、それで我が軍を助けたということか。それで? これからどうする?」

 大王が、表情を変えずに訊いてきた。


「ガイガーの首を取りに行く」

 ゲバラは強い口調で返事を返した。


「これは面白い。おまえをますます気に入ったぞ。おまえには、助けられた恩義がある。だから殺したりはしない。おまえを開放しよう。それとだ。ガイガーがどこにいるのか、居場所を教えてやろう」

 大王が答えると、目の前の空間に大きなスクリーンが現れた。そのスクリーンに、北米大陸の画像が映し出された。その大陸の中央に、赤い点が一つ付いていた。


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