第38章 再生⑧
すると、アマールの表情から戦士の色が消えていた。代わりに、初めて女らしい表情を見せていた。それでも、やはり最強の女戦士だった。すぐに元の表情に戻っていた。
「君が、ここの情報を漏らすなら、君より何万倍も口が軽い俺は、ガイガーの手下たちに捕まったら、ここの秘密をあっさりと白状するだろう」
俺は場を和ませようと、少し軽口を吐いた。
「そうね。1分も経たないうちに、人間は全部吐くわ」
アマールが少し緩んだ表情で応じてきた。
「ありがとう、宮島さん。そこまで、わたしのことを思ってくれて」
柔らかい口調で続けてきた。
「俺には君が必要だ。頼む一緒に、火星に行ってくれ」
重ねて強い口調で思いを告げた。
またアマールは考え込むような表情をしていた。
俺は募る感情のままに両手を伸ばし、アマールの右手を握った。いきなり手を握られたアマールは、びっくりしたような顔になった。そして握られた手に眼をやり、それから瞳を俺の顔に向けてきた。
「わかったわ。一緒に火星に行くわ」
少し間をおいて承諾してきた。
それからアマールは小さく頷くと、瞳に微笑みを添え、俺の眼に合わせてきた。
「ありがとう。君と一緒に、また旅ができる」
俺は感謝の言葉を吐くと感情を込め、アマールの手を少し強く握った。
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