第38章 再生④
処置室に入った俺は衝撃を受け、眼を見張った。アマールが、透明のカプセルのような施術台に寝かされ、眼を閉じていた。そして頭部から足先まで全身、電極のようなものを付けられていた。
その横たわる姿を眼にして心が激しく乱れ、動揺した。命の恩人の変わり果てた姿を眼にして俺は感傷的になり、涙が自然にこみあげてきた。その涙を堪えて、アリーナの顔を見つめた。
「心配しないでください。私が指示するまで、誰もなにもしませんから」
俺を落ち着かせるかのように、ガーピスがまた穏やかな声で説明してきた。
「彼女の意識はあるのか?」
たまらず、すぐに訊き返した。
「ええ、眼を閉じているだけです。彼女と話をしますか?」
「話せるのか?」
「はい。声をかけてあげれば、彼女は眼を開けます」
「頼む。話をさせてくれ」
俺は強い口調で頼み込んだ。
話ができると聞いて、沸騰していた俺の心は少し落ち着いてきた。だが、まだ安心などできない。これから何が起きるのか、不安だけが俺の心を強く握っていた。
「わかりました。さあ、こちらからどうぞ」
ガーピスに案内されて術台の傍に立った俺は、アマールを見つめた。
「アマール、俺だ。聞こえるか?」
俺は不安だらけの声で呼びかけた。
すると、アマールがゆっくりと瞼を開き、俺に眼をやった。その瞳は、吸い込まれそうになるほど、すごく美しかった。俺がはじめて眼にしたときの、あの氷のような冷たい眼ではなかった。
すごく優しい眼だった。
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