第38章 再生③
アマールがいる方角の通路を一瞥し、瞳をガーピスの顔に戻した。
「アマールはいま、どうしてる?」
俺はたまらず、先に口を開いた。
「彼女は、機能停止されるために、処置室に向かっています」
ガーピスは元の平静な顔に戻して答えてきた。
「なんだと! 処置室はどこだ? どこにある!」
俺は声を荒げ、怒りの形相でガーピスに食ってかかった。
「落ち着いてください。処置室に行っても、すぐにははじめませんから」
沸騰する心をなだめるように、ガーピスが落ち着いた声で促してきた。
俺は呼吸を乱し、肩を揺らしながらガーピスを睨みつけた。
「いつ実行するんだっ?」
俺はガーピスに飛びかからんばかりに、怒りの声を投げつけた。
「アマールのこと、そこまで気にかけているのですね」
ガーピスは俺の顔に眼を送り、穏やかな口調で話してきた。
「当たり前だ! 彼女は俺を助けてくれたんだ!」
眼を吊り上げ、怒声を飛ばした。
ガーピスは俺の怒りを受け流し、また観察でもするかのような眼を向けてきた。
「わかりました。あなたが、そこまで強く望むなら、彼女を再生しましょう」
怒りまくる俺に対し、相変わらず優しい口調で声を返してきた。
「それは、本当か? 彼女を処分しないんだな」
俺は念を押すように強く訊き返した。
「ええ約束します。私たちは嘘を吐いたりはしません」
優しい口調に代わり、今度はいくぶん語気を強くして返してきた。
「いまから、彼女のところに行きますか?」
また元の穏やかな口調で訊いてきた。
「ああ頼む、連れていってくれ」
俺は怒りが覚めぬ声で頼み込んだ。
「わかりました。案内しましょう」
そう言うと、ガーピスは踵を返した。
俺は、通路に向かって歩くガーピスの後に従った。
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