第37章 俺が眠る2年前④
そういうわけで俺にも、さっ処分した経験がある。いや、さっ処分というよりは、害獣駆除と言ったほうが正しいかな? 人間の命を支えてくれている牛や豚、鶏たちの大切な命をさっ処分するのは、豚コレラなど、やむにやまれぬ事情で仕方なく処分するもの。
AV男たちの処分は、有害な害虫駆除のようなものだ。それから俺の活動は一変した。俺は空手を習っていたが、実戦ではあまり役に立たなかった。そこで仲間の元兵士たちの実戦術を習得すると、避難民たちの救済活動を続ける一方で、裏の顔は誘拐犯たちの駆除をするようになっていた。
俺が救援活動していた頃は、世界の難民は国連の統計によれば7千万人を超えていた。日本の人口は1億2千万人だから、その難民の数がいかにとんでもない数なのかがわかるだろう。しかも、その約半分は子供たちだ。その子供たちを狙って、悪党どもが暗躍していた。誘拐、人身売買された少年は兵士や奴隷労働者にさせられ、女子は性奴隷にされていた。
だから悔しいが、俺たちが救うことができたのは、一握りの少年少女たちにすぎない。
それでもあきらめるわけにはいかない。
俺たちは悪党どもと戦い続けた。その誘拐犯たちとの格闘で、初めて人間を駆除、いや殺害したときの手の感触は、いまも脳裏に強く焼き付いている。
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