第36章 アマール④

 俺は、ガーピスの告白に、心の中で、嘘だろう? と何度も叫んでいた。


「ガイガーが誕生させたのなら、俺を救うはずがないだろう?」

 思わず反発するように、疑心を抱いた強い口調で訊き返した。


「信じられないのも無理もありません。あなたを命がけで助けだし、ここまで連れてきたのですから」

 吐息を吐くように話すと、真相を説明してきた。


 アマールは、好色な米大統領が命じてガイガーに誕生させた一見リアルドールのようなヒューマノイドだった。大統領の夜の相手をさせるために、世界の美女1万人のデータを元に精巧に造られた。その一方で、100人の屈強な男たちが戦っても太刀打ちできない最強のボディーガード、それがアマールだった。


 だが彼女の体を弄ぶ前に、大統領は側近に暗殺された。その殺害した側近も副大統領に口封じで殺され、権力を手に入れた副大統領はガイガーのロボットに殺害された。


 結局のところ、アマールは誰とも夜の性の相手をすることなく、その卓越した戦闘力を活かし、スパイとして活動するようになったということだ。


 だから、人間でいえば、まだ処女ということになる。


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